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4時から女の暑い夏
2017年7月19日
その昔「5時から男」というコマーシャルをやっていた記憶があるが、夏になると「5時から男」なんぞ足元にも及ばない、自称「4時から女」と名乗った一人の女性がいたことを思いだす。
当時彼女は50を超え、俗にいう「お局さま」という身分であったが、後輩OLをいじめることもなくごくごく平凡だが、長ーい長ーいOL生活を粛々と送っていた。
だがやはり、だてに長くOLをしていたわけではない。
夏、とくに「真夏」になると、彼女の態度は一変するのだった。
一応、出社しなければならないので、朝は6時に起き満員電車に揺られ、会社に着くと業務をこなすわけなのだが、彼女が本気モードになるのは午後4時から定時の5時までの1時間。そして定時きっかりに帰宅して行く。
いったい彼女は何をしているのかというと、しっかりと仕事をしているように見えるのだが、本人いわく「こんな暑いのにやっていられるかぁ」と、ほとんど何もしていないということなのだ。
素晴らしいテクニックである。
どうゆうわけか、彼女は30も年下の私をかわいがってくれた。まだまだ私、世間知らずでお子ちゃまだったから放っておけなかったのだろう。
彼女からはいろいろなことを教えてもらった。仕事のやりかた、取引先との商談の仕方、社内の人間関係、そして誰と誰が恋仲か 等々・・・。
そして何よりも学ばせてもらったのが「OLとしての生き方」だった。
その昔、大半の女性にとって会社というところは結婚までの腰かけだったし、ましてや役職に付くなど皆無な時代に、長く会社にいるということは、肩たたきをはじめとするさまざまな目に遭いながらも、たくましく生き抜いてきたということになる。
彼女は賢かった。
どうしたら周囲からうとまれず、寿退社をしていく同僚・後輩のことも気にせずに、自分を保ち居場所をキープするか。
これは実に勉強になったし、それからのOL生活に大いに役立った。
私が入社してから10年目の夏、彼女は定年を迎えた。たくさんの花束に囲まれ去って行く彼女を見送りながら、何とも寂しい気持ちになったものである。
独り身だった彼女は、それから老人施設を兼ねたマンションを買いそこで生活をしていた。時折、好物の和菓子を持って遊びに行くと、大きな笑顔で出迎えてくれる彼女。
5年前、息を引き取ったとの知らせに急きょ駆け付けると、住んでいたマンションの一室で、あの時のようにたくさんの花に囲まれ、やすらかな顔をして眠っていた。
いつか彼女に、「何故、結婚しなかったのか?」と聞いたことがある。
「大好きだった人には妻子がいたので身を引いた」と、想像もしていなかった答えだったが、彼女には彼女なりのラブロマンスがあったのだと思い胸が熱くなった。
今だったらとても考えられないが、彼女がOLだった当時、結婚をせず役職者でもない女性社員が定年まで会社にいるということは、それはそれはイバラの道であったに違いない。
でも、彼女はそれを臆することなく、自分の意志を貫いたのだ。
「4時から女」
これは世間や会社に対する、彼女なりの最大の抵抗だったのかもしれない。
今年も暑い夏がやって来た。
夕方4時になると、あの時、まだお子ちゃまOLだった私に、大きな笑顔で語り掛けてくれた彼女のことを思い出す。
「あのね こっけいかもしれないけど、OLとしてそして一女性として、こんな生き方もあるのよ。笑って生きようね、あかりさん」と。

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